#「遺言書」作成の基本的な疑問について
- kusujimusho
- 2022年5月5日
- 読了時間: 3分
「遺言書」というものは、作った方がよいものなのか。作らなくてもよいものなのでしょうか。
という疑問は、少しでも「遺言書」という言葉が気になる方は、頭に浮かんだことがあるのではないでしょうか。
作った方がよいか、作らなくてもよいかということの解決策の一つの考え方として、「うちは財産が少ないから作らなくてもいいんじゃないか。」というふうに考える人も多くおられるようです。
昔のように遺産はすべて長男が相続し、被相続人に関わる事は一切長男が引き継ぐというように、相続人の間で暗黙の了解がある場合は別として、現在では相続の方法としては遺産がどんなに少なくても法定相続割合や遺産分割協議等により決めることが多いと思います。
遺産には金銭として分割できないものもあったり、また、墓、位牌、仏壇等のように祭祀を承継する者が引き継ぐものとされ遺産に含まれないもの等もあります。
財産が少ないからということは、裏を返せば相続人も遺産に執着しないだろうからということかもしれませんし、それだからトラブルも少ないだろうということなのかもしれません。しかし、「財産が少ないから作らなくてもいいんじゃないか。」という考え方は「遺言書」を作らないという方向での気持ちの整理にはなるかもしれませんが、実質的な解決策にはならないのではないでしょうか。
「遺言書」を作成するとした場合、いつ頃、または何歳ごろ作成したらよいのかということが気になります。 「遺言書」を作成する目的の中には、「相続におけるトラブルを軽減したい」、「相続人の相続にかかる時間や労力を少なくしたい」等の理由もあるのではないでしょうか。
トラブルを軽減するということを考えると、各相続人がそれぞれ相続したい遺産を相続できるということがトラブル軽減の一番の近道だと思いますが、現実的には、相続人同士の話し合いでそういった内容になることは難しいことではないでしょうか。
また、相続人だけで話し合ってもなかなか解決できないような問題もあり、話し合うこと自体が時間の無駄であったり、無駄な労力を費やすということになったりということもあるかもしれません。
作成する目的の大きなものに、自分の遺産を自分の思い通りに相続させたいということがあると思います。ただ、極端な話ですが、相続が発生し「遺言書」を開けてみると何の前触れもなく県外に住む相続人が家を相続したり、農業をしない相続人が田畑を相続する内容になっていたというのも相続人にとっては困った話だということになってしまいます。
「遺言書」は作成する人のみの考えで作成してしまうとその価値も半減してしまうことになりかねません。作成するまでに、何らかの方法で推定相続人の意向も察しておいた方がよいのではないでしょうか。推定相続人との意思疎通を始めた時期が「遺言書」作成を始めた時期と言ってよいのではないでしょうか。


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